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野菜不足の影響を吹き飛ばせ!沖縄野菜の秘密がわかった
薬食同源の智恵が活きる沖縄料理と島野菜
すっかり有名になったゴーヤーチャンプルーをはじめ、味や香りに強いクセのある沖縄独特の野菜。本土にはない「島野菜」は、もともと沖縄に自生していた薬草類や亜熱帯アジアに起源があります。
琉球王朝の時代、沖縄は広くアジア各国と交易をしていました。特に中国から伝えられた薬食同源の考え方は、今も受け継がれ、「クスイムン」(「薬になる物」で身体に良いものという意味)と呼ばれ、クセがある野菜でも健康のために食べる料理法が多く伝えられています。
戦争の後にアメリカ統治時代を経て、食生活が大きな影響を受ける中でも、伝統的な食事をする沖縄女性は世界的に健康と長寿で有名です。現代の沖縄では、本土と同じように食生活も多様化していって沖縄料理の出番は少なくなっているようです。それでも健康長寿の源としてその薬食同源の智恵が語り継がれてきた健康的な沖縄料理は、日本はもとより世界からも注目を集めています。
仕事と旅の疲れに、女将がすすめてくれた苦い野菜で元気が復活
沖縄に最初に行ったのは観光でした。沖縄の食事や雰囲気が好きになって、リフレッシュのためにたびたび行くようになりました。
そのうち、仕事の出張でも沖縄に行く機会が多くなったあるとき、忙しすぎて仕事のストレスと旅の疲れで体調を崩してダウンしそうになっていると、「これを食べなさい」と料理屋の女将さんが小鉢を出してくれました。
ひとくち食べてみると、何やら苦い野菜が入っていて、食欲はないはずなのに不思議と口に入っていきます。
スーパーでも買えるゴーヤーなどの野菜の他に、庭には畑の隅に植えたり自生したりしている野菜や薬草があって、それを料理の一品にして出しているそう。家族やお客さんの顔色を見て、無理にでも食べさせるとか。
子供の頃の野菜体験があざやかによみがえる
そのとき思い出したのは、何十年も前の子供時代のことです。喘息やアトピーなどの症状があって虚弱体質そのものだった私は、医者から空気のいいところで転地療養した方がいいと言われ、夏休みは両親の田舎である那須(栃木県)で過ごしていました。
元気のない時も、自家用菜園の畑でもぎ立てのトマトを食べて、虫捕りや川遊びをしたことを覚えています。
沖縄の苦い野菜を食べた時、子供の頃に真っ赤なトマトを食べて遊んだ感覚がよみがえってきたのです。味は全く違うのに、懐かしい感じがしたのは、子供の頃の楽しく遊んだ思い出と感動が一緒だったからです。
沖縄野菜のパワーが欲しくて沖縄料理屋へ
不思議なことに東京に帰ってきてトマトや他の野菜を食べても、同じような感覚はないのですが、次の年にまた田舎に行くと同じような体験をするのです。沖縄に行く度に元気になることと重なって、あの時のトマトと沖縄野菜には同じパワーがあるんじゃないかと気づいたのです。
沖縄ブームがやってきて、沖縄料理屋さんが増えてきました。チャンプルーや沖縄そばなどはいつでも食べられるようになったものの、生の沖縄野菜を取り寄せるのは大変なようで、沖縄の料理屋のように何でも食べられるというわけではありません。
ゴーヤーは沖縄産じゃない!?
沖縄野菜が大好きになった私は、沖縄にいないときでもゴーヤーチャンプルーを作ったりして、沖縄野菜を食べるようになりました。最初は手に入りにくく高価だったゴーヤーも、スーパーで買えるようになったのはいいのですが、何故か沖縄産を見かけなくなってしまいました。
詳しい人に聞くと、売れるようになったゴーヤーを千葉や静岡でも作るようになって、輸送費などのコストがかかる沖縄産は出回らなくなってしまったのです。
島野菜と呼ばれる沖縄野菜は手に入らない
「沖縄産」の野菜をよく見かけるのは冬場で、ピーマンやオクラなどの夏野菜が中心で、沖縄野菜はあまり見かけません。いわゆる「島野菜」と言われる味や香りの強い薬草のような野菜は手に入らないのです。
銀座にある沖縄のアンテナショップなどへ行っても、あまり生の野菜は売っていません。知り合いの農家さんや友達に頼んで送ってもらうと、送料の方が高くなってしまいます。かといって一度にたくさん送ってもらうと食べきれません。
良質な栄養素の宝庫・沖縄野菜を、どうしても食べたい!
どうしても食べたいときは、沖縄料理屋さんへ行くのですが、夜だと結局一人4000円かかってしまいます。
良質な栄養素の宝庫・沖縄産の沖縄野菜をなんとかして普段も食べられるようにできないか、そんなことを漠然と考えるようになりました。そして、沖縄の野菜は何が違うのか、どんな栄養が自分を元気にしてくれるのか、いろいろと調べるようになったのです。
野菜不足の上に品種改良で味も栄養もスカスカ
一番いろいろなことを教えてくれたのは、沖縄の農家さんでした。農薬で身体を悪くしてからは、堆肥や土作りからはじめて農薬を使わない野菜作りをしている上地さんは、「今の野菜は味もないけど、栄養もないよ」とよく言っていました。
ふだんスーパーに並んでいる野菜は、品種改良が進んで見た目も美しく形も整っています。ところが、本当の品種改良の目的は「早く収穫できて、たくさん収穫できる品種」を作ることです。4カ月経たないと収穫できない野菜より2カ月で収穫できる野菜の方が、農家が儲かります。同じ畑で100キロ収穫できたものが200キロになれば農家が儲かります。
化学肥料と農薬漬けの野菜
こうして、早く成長して多く収穫できる品種が残りました。しかし、その為には化学肥料を大量に使って、病害虫を駆除する農薬をたくさん使う必要があります。
さらに、全国各地へ野菜を輸送するために、隙間なく箱詰めできる形の整った野菜だけが出荷されるようになりました。いくら手間をかけて作った美味しい野菜でも、箱に入らないとお金にならないのです。
失われた栄養素がもたらす野菜不足の影響と不安な症状
品種改良から始まった野菜の変化は、見た目の美しさと引き替えに、栄養を失うという形であらわれました。その驚きのデータがこれです。
栄養の激減は、ビタミンやミネラル、その野菜固有の栄養素にまで及んでいます。その栄養のあまりない野菜でさえ、消費量が減ってみんなが野菜不足になっているのですから、その影響は深刻で、身体が野菜の健康成分を欲しがるのも自然なことなのです。
野菜不足のせいでさまざまな影響が出ているとわかっているのに、普通に売っている野菜では補いきれないことが大きな問題なのです。
濃い沖縄野菜は味も香りも栄養も昔のまま
上地さんは、「沖縄の野菜は、本土の野菜みたいに品種改良が進んでいないから、昔の栄養がそのままで、味も香りも強いんだよ」と教えてくれました。
トマトで元気になった理由はこれだったんだ!、と子供の頃をまた思い出しました。もう40年以上も前です。形も不格好だけど、食べると元気になった田舎の自家菜園のトマトは、味も濃厚で強い香りがあったのは、栄養も濃かったからだとピンと来たのです。
いつの頃からか、田舎へ行ってトマトを食べても同じような味がしなくなったのは、形がきれいに丸くなる品種に変わってからだったような気がします。
鶏たちも教えてくれる「薬草の島」の豊かさ
また、本島南部の高台にある「みやぎ農園」では、自然を活かした循環型の平飼い養鶏をしています。ここで鶏達は青草を毎日食べているのですが、農園の回りにある自然の青草は、ほとんどが薬草です。その薬草を毎日刈って与えているので、病気知らずで健康そのもの。この鶏達を間近で見て、ますます沖縄の薬草が持つ健康パワーに惹かれていきました。
沖縄は「薬草の島」と言われていると聞いて知ってはいました。しかし、実際に庭や畑の片隅や道ばたなどに生えている自然の野草の多くが薬草で、さまざまな利用法があることを知って、沖縄の自然の豊かさに驚きました。
抗酸化物質、ポリフェノール、フィトケミカル
沖縄の野菜は、どんな栄養が豊富なのか調べてみました。すると、ミネラルやビタミンなども昔の野菜のように豊富なのですが、沖縄野菜独特の成分が豊富にあることがわかりました。それは、抗酸化物質やポリフェノール、フィトケミカルといった最近注目のものばかり。
その理由は、沖縄が本土の5〜10倍も紫外線が強いから。有害な紫外線で細胞が壊れないように植物が作り出す成分は、害虫や病気から身体を守るだけでなく、人間の健康を守る力も持っています。
やっぱり本土の野菜じゃなくて、沖縄の野菜を食べたからあの時元気になったんだと納得できました。同じゴーヤーでも沖縄産の方がパワーがあるような感じがしたのも、太陽の力の違いだったんだとわかりました。こんなにすごい沖縄野菜を、健康のために採れる方法はないかと、試行錯誤を始めるようになっていました。